ちょっと古くなったが、2005年11月30日にアクロス福岡で旅行業界団体が主催する
「団塊の世代の旅行ニーズとは？」のセミナーがあったので、2005年を振り返る
意味で内容をまとめてみました。

講師は�螢泪�ジンハウス・書籍出版部所属編集プロデューサーの島田始氏。

同氏は1949年生まれの同世代。平凡社（現在のマガジンハウス）へ入社し、
「アンアン」「週刊平凡」「Hanako」（創刊）などに携わり、ファッションや旅行
などの消費動向を見つめて来られた方。　その切り口を大いに楽しみにしていた。


＊映画館ではどこに座るか？　という言葉からセミナーが始まった。

僕たちの常識は真ん中、後ろ側の席が一番。　今は非常口の近くから埋まるそうだ。
今の映画は昔に比べて長くなり、2時間、3時間が常識。
明るい、出入り口に近い座席から埋まる。　その理由はトイレに近いから。
歌舞伎は昔から30分公演して20分休憩で、トイレの近い年代を知っていたから。
映画業界も団塊の世代なくしてはやっていけない時代になり、これからの映画作り
では途中休憩を意識する必要があると言う。


＊女性の一生・ライフスタイルが変わってきている

今の女性は平均47.8才で子離れし、平均寿命は85.7才、第2の青春が36年間ある。
昔は青春時代は短く同年代が死ぬと元気がなくなったが、今は第2の退職金という
旦那の生命保険が入り、ますます元気になっている。
また、子供の結婚平均年齢は晩婚35才、その70％が出来ちゃった結婚。
子離れをして、15〜35才の子供という第2のパートナーを得る。
今は誰と旅行をするかというと、第1が娘、第2が姉妹となっている。
旦那は1980年代単身赴任時代を経験して、妻とは価値観が違っているからだそうだ。


＊男性は60歳を定年とすると、

女性と違って、男性は会社ネットワークが無くなり、明るい引きこもりが始まる。
亭主は元気で家事が良いとばかり、動くと交通費もかかるので、月曜に出ないと
1週間全く出かけないこともある。
集まり易い日の設定にはこんな心境の理解も必要だそうだ。

日本の男性は馬人参で走ってきたから定年を迎えると大きく落ち込むが、海外の
退職者はボランティア活動を選んでいる。日本では先が見えないから余計に今
消費に走る傾向が見え始めている。女性同様に男性も今が旬の考えに気がついた。


＊世の中は二世代消費から三世代消費へと言われているが、

孫との生活だけではなく、自分のしたいこともある。
孫中心は嫌だと思い始めている。　50〜７０歳代は一人がよく、家族の絆と個人の
ライフスタイルを大事にしたいという心理を理解して、娘・家族と一緒だけでない
シングル・リテイルが進んでいるそうな。


＊トヨタのクラウン80万人のユーザー向けに「Haruka」の雑誌編集もしている。

皆さん温泉が大好きで、雑誌でも平均的に25000円の温泉を提案してきた。
長年このクラウンに乗ってきた男性が一緒に温泉に行くのは奥さんです。
しかし、奥さんは友達や娘と2万円台の温泉に泊まっています。
同じ金額では奥さんを引き付けられないので、5万円の温泉が必要でこれなら
奥さんが一緒に行ってくれる。こんな需要もあるそうです。


以上がセミナーの要旨で、大変興味深い話でした。
団塊の世代に限らず世の中のトレンドを敏感に掴み取っていくことが重要だと
感じた次第。

もっと興味にある方は
「なぜ売れるのか、売れないのか」も読んでください。