駐車場から旧高取邸への小道福岡に来た2004年8月に初めて唐津に行き、河村美術館から曳山展示場を訪ねたが、あとは何回か通過しているだけだった。唐津の旧家が見学できると聞いたので調べると、旧高取家住宅が昨年4月から常時公開されていることが分かった。国指定重要文化財として平成10年に指定されている。お天気が良いから、石垣の散歩道から唐津城まで歩いていくことにした。

佐賀県観光連盟の「あそぼーさが」のホームページに旧高取邸の説明が詳しくあったけど、想像以上に大きな建物だった。団体も無く一人の方を案内するボランティアガイドから、一緒に聞かれませんかと声をかけてもらったので付かず離れず説明を聞きながら回れて良かった。

洋間横の本玄関から入る大玄関から洋間を眺める

約2300坪の敷地に建坪500坪。1階部分が300坪、2階が200坪もある佐賀県で最大級の木造一部2階建てと紹介されている。70枚以上ある杉戸に書かれた絵の数々。中でも、楊貴妃や福の神など迫力一杯。孔雀や芥子の図柄が描かれた欄間。自然光や灯りで隣の部屋に映るデザイン。座敷に仕組まれた能舞台は現存する唯一といわれる。畳を敷くと北側の広間とあわせて30畳の大広間。二階の大広間では湯釜をかけるフックがついている。こう書いていくと絢爛豪華な感じがするが、華美にならず生活観のある素晴らしい邸宅だ。

大隈重信も通った客用の大玄関庭から客用の二階大広間を見る飯塚市にある今話題の旧伊藤伝右衛門邸と同様に、炭鉱王・高取伊好(これよし)の隆盛をうかがい知ることが出来た。土蔵ギャラリーを覗くと、高取家の歩みや石炭産業史を紹介している。炭鉱を描いた絵があり質問すると、唐津に炭鉱があり、積み出し港としても賑わっていたことをはじめて知った。高取伊好によってリードされた唐津が九州きってのおしゃれな町となっていたのは驚くばかり。

石垣の道から唐津城を眺める唐津城の周囲には城内を囲んだ石垣の一部が残っており、旧高取邸からお城に向かってよい散歩道になっている。途中、唐津藩の武家屋敷門をくぐると旅館だったり、砂浜を見ていると直ぐ唐津城の中に入っていく。